あくいの孫

25歳でまだ大学生やってる人間です

酒好きが飲まない酒

 最近、久々に小学校以来の親友と二人で飲みに行った。お互い大学4年生で就職も決まって、これまでお互いどこか焦ってたところもあったから、一番開放的だったかもしれない。親友の方はベロベロになって帰った。
 そのとき、親友はしきりに、「こんなに気を遣わず飲めるのは久しぶりだ」とこぼしていた。最初は親友だから言ってくれてるのかと思って少し嬉しかったが、聞いてみるとそうでもないらしい。端的に言うと、周りにお酒を飲める人が少ないのだ。
 親友は昔から吹奏楽をやっていて、大学でも関連の団体に入っている。いわゆる文化系だ。仲の良い人も飲まない人が多く、飲み会でも最初の一杯で控えてしまうそうだ。
 確かに、1人だけ酔っ払って介抱されるのも嫌だし、何より「あーこいつだけ酔ってるなあ」って観察されてる気がして、本当に嫌だ。自分も飲まない人と出かけて、お酒を勧められるが、そういう時は断っているので気持ちがよくわかる。
 ただ、親友はそれが毎回だ。正直飲める場にいて飲めないのは多少なりフラストレーションが溜まる。親友のことをいいやつだなと思いつつ、「飲み屋で友達でも作るしかないかね」なんて答えしかできなかった。
 お互い就職で、どこに行くかまだ不明だ。全く会わない環境に行くかもしれないし、逆にすぐ近くになるかもしれない。きっとそこまで何度も会わなくてもこの関係は崩れないけど、飲まなかった酒が増えてくかもしれない。その分、年一回くらいは、仕方なしにその酒を注ぎに行ってやることが、せめてものことなのだろうか。