あくいの孫

25歳でまだ大学生やってる人間です

垢抜ける

今年25歳、この身体と四半世紀過ごしてきたが、まだまだ変化しなければと思う時がある。
朝起きて鏡に向かうと、ボサボサの髪とまだらに生えた髭が見えてきて、次美容室行く時は別の髪型を試そうとか、やっぱり脱毛した方がいいだろうかとか、ついそんなことを考えて洗面台に寄っかかってしまう。
20歳のとき、化粧をしてみたら何か変わるんじゃないかと思って、なんの下調べもせずに、薬局に行ったことがあった。化粧品売り場に置いてあるもので、青髭を隠せないかと片っ端からスマホで調べていると、40過ぎくらいの化粧品スタッフの女性が声をかけてきた。
「何かお探しのものはありますか?」
後から気づいたが、そのとき私は、化粧品売り場を1人でうろうろしている不審な男だった。それに気づかず、プロの人に聞けると思って少しテンションの上がっている状態で、無邪気に返答していた。
青髭隠したくて、化粧を始めてみたいなあと思ってみてたんですけど…何かいいのありますか?」
それを聞いたスタッフから、少し呆れたような間を置いて
「そしたら、まず毎朝きちんと髭を剃って、そのうえで化粧をするの。日中も化粧落ちとかするから、気を抜かずにトイレに行った時は落ちてないか確認する。そういうのが必要になるけど、あなたできる?」
こういう何も知らない若造が来たら、先達は優しく導いてくれるものではないのか。少しムッとしつつ、それ以上にそんなに気負ってするものなのかと、疲れ果てながらとぼとぼ薬局を背に帰った。
2023年の今、化粧品売り場にもメンズメイクのコーナーができる世の中になり、私も少しだが化粧品を買った。だがやはり、毎日というわけにはいかず、休日の気が乗った日にだけ少し試してみる程度だ。確かに化粧をすると青髭が隠せるし、見た目も良くなってテンションも上がるが、日中落ちないか不安になっていちいち気にしてしまう。垢抜けるための変化の余地がまだあると思いつつ、その先を歩き続ける自信がないだけなんじゃないか。